2025年12月22日

ロンドンへ-1990年からのものがたり-

初めてロンドンを訪れたのは1990年夏のことだった。

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オックスフォードへの海外出張の帰りに、ロンドンに一泊した。有名な観光地には行かず、ロンドン在住の知人に案内してもらって、同行の関志信さんとともに、デパートや書店、ギャラリーなどを巡って一日が終わった。
翌朝はケンジントン・ガーデンズを散策。なぜかTシャツで来てしまい、すごく寒かったことだけが記憶に残っている。
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2017年夏、ロンドンにあるタイプファウンダリー、ダルトンマーグ(Dalton Maag Ltd.)のマーク・ショー(Mark Show)さんから仕事のメールが届いた。英語と、翻訳された日本語が添えられていた。英語があまりわからない私でもその内容を理解することができた。
機密保持契約の関係で具体的なことは差し控えるが、わたしは英語がわからないので翻訳ソフトを使って返信した。デザインに関することなので、図示を駆使してなんとかコミュニケーションがとれたようだった。
もちろんわたしが欧字書体を制作するということはなく、欧字書体と日本語書体とのマッチングについての意見を求められた。
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モノタイプ(Monotype Imaging inc.)の本社はアメリカだが、世界13ヶ国にオフィスを構える世界最大のタイプファウンダリ―となっている。ロンドンにもオフィスが置かれている。

もともとのモノタイプ(Monotype Corporation Ltd.)のロンドン支社においては、スタンレー・モリソン(1889–1967)を中心として、印刷術の初期段階から18世紀後半にかけての復刻書体が作られた。

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フォントワークス株式会社が2023年にモノタイプの傘下に入ったことで、2024年末にモノタイプと契約することになった。モノタイプには欣喜堂制作の復刻書体のオリジナル(本家)がある。
わたしが欧字書体を制作しているのは、日本語書体の中にラテン文字、ギリシャ文字、キリル文字が標準で組み込まれていて制作する必要があるからだ。そうであれば、和字書体・漢字書体と同じように、欧字書体も復刻書体であるべきだと考えた。
欣喜堂の欧字書体は、あくまでも日本語書体の中で混植して使用する目的で作っている。日本での使用を前提にしてローカライズするということなのだ。そういう役割が求められているのである。
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日本国内でも、さまざまな場面で多言語化が求められている。観光パンフレットや案内表示などで、英語はもちろん、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、オランダ語、ロシア語に至るまで多様である。


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欣喜堂の「欧字書体十二宮」「欧字書体四天」「欧字書体三光」は、日本語書体に組み込まれるのが主目的だが、決して従属しているのではない。

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posted by 今田欣一 at 17:29| Comment(0) | 活字書体の履歴書・別章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする