金属活字の書体から、明朝体・ゴシック体・アンチック体という主要三書体と調和する和字書体を制作した。これを「ときわぎ(常盤木)」クランと呼ぶことにする。
日本語書体において、一般的には明朝体・ゴシック体・アンチック体が主要3書体である。にもかかわらず、多くのメーカーが明朝体・ゴシック体のファミリー化までは熱心に進めるけれど、アンチック体となると、まるで興味を示さないのは残念なことだ。
「ときわぎロマンチック」「ときわぎゴチック」「ときわぎアンチック」は、近代明朝体と組み合わせる和字書体、ゴシック体と組み合わされる和字書体、アンチック体としての和字書体ということで、1950年代に印刷された金属活字にみられる力強くしなやかな雰囲気を醸し出すことを目標にして制作している。
「ほしくずや」のスタンダード書体というべき書体群「ときわぎ」のうち、「ときわぎロマンチックW3」「ときわぎアンチックW6」「ときわぎゴチックW6」の3書体を、2015年5月9日に発売した。
その基本となる「ときわぎロマンチック」の参考にしたのは、『右門捕物帖全集 第四巻』(佐々木味津三著、鱒書房、1956年)の本文に使用されている、力のある和字書体である。復刻ではなく、これを参考にしながら新しく画き起こした。「ときわぎロマンチックW3」は本文用和字書体である。漢字書体は「白澤明朝」、欧字書体は「Vrijheid Serif」と組み合わせることにしている。
「ときわぎロマンチック」をもとにして、「ときわぎゴチックW6」と、ときわぎアンチックW6」を制作することにした。「ときわぎゴチックW6」は小見出し用和字書体である。漢字書体は「白澤呉竹」、欧字書体は「Vrijheid Sans」と組み合わせる。「ときわぎアンチックW6」も小見出し用和字書体である。漢字書体は「白澤安竹」、欧字書体は「Vrijheid Slab」という組み合わせを想定している。
「ときわぎロマンチックW3」(2015年)
「ときわぎゴチックW6」(2015年)
「ときわぎアンチックW6」(2015年)
「ときわぎクラシックW3」(2019年)