欧字書体はあまり詳しくなかったので、個人的な勉強会を、 2017年の9月から12月まで、喫茶室ルノアール川越店でひっそりと開催した。
第1回は9月3日(日)で、『西洋書体の歴史:古典時代からルネサンスへ』(スタン・ナイト著、高宮利行訳、慶應義塾大学出版会、2001年)などを資料に、「カリグラフィからタイポグラフィへ」というテーマだった。
第2回は10月1日(日)で「ローマン体の誕生と伝播」、第3回は11月5日(日)で「ローマン体の変遷」をテーマにした。資料は『西洋活字の歴史:グーテンベルグからウィリアム・モリスへ』(スタン・ナイト著、高宮利行監修・翻訳、安形麻里翻訳、慶應義塾大学出版会、2014年)である。この書物は、活版印刷の誕生から20世紀初頭までのすぐれた活字書体を、その活字が使われた書物の図版と解説で時代順に紹介している。
取り上げる活字書体は、「イタリア・ルネサンスの活字」、「フランス・ルネサンスの活字」、「バロック活字」として分類されている。一般的には、ヴェネツィアン・ローマン体、オールド・ローマン体とされる。
「イタリア・ルネサンスの活字」としては、ニコラ・ジェンソン(Nicolas Jenson)の活字書体、アルドゥス・マヌティウス(Aldus Manutius)の活字書体などが取り上げられている。続いて「フランス・ルネサンスの活字」「バロック活字」「ネオクラシカル活字」、「合理主義的活字」、そして「19世紀の活字」に分類されている。
ニコラ・ジェンソンの活字の紹介としては、ヴェネツィアで1470年に印刷されたキケロの『ブルートゥスへの書簡』が掲載されている。見開きがひとつの活字体で、ページ全体図、原寸図、拡大図の3サイズと、短い解説文で構成されている。
この個人的勉強会の最終回は12月3日(日)で、「セリフ・スラブセリフ・サンセリフ」をテーマにした。
「さきがけ」、「龍爪」と組み合わせた「K.E.Aries 」を、「ひふみ」、「陳起」にも組み合わせた。「龍爪」も「陳起」も宋朝体なので、欧字書体はヴェネチアン・ローマン体と合わせることにしたのである。