2020年10月14日

「KOさくらぎ蛍雪M」のものがたり3

漢字書体「蛍雪」のはなし(後)

清・康熙年間の「熱河」、清・嘉慶年間の「蛍雪」を試作した。「熱河」「蛍雪」のうち、「蛍雪」を清朝体の代表として制作することにした。
「蛍雪」のキャッチフレーズは「清朝官刻体」と名付けられた。書体名は「蛍雪」である。明代の刊本字様を「明朝体」ということで「正調明朝体」としたのだから、清代の刊本字様を「清朝体」として、まあ「正調清朝体」でしょ……と思っていた。
ところが、わが国には活版製造所弘道軒の清朝活字を発端とする「清朝体」という書体があったのだ。そのために「清朝体」というキャッチフレーズにすると、ユーザーが混乱するというのだ。

小学館の国語辞典『大辞泉』には次のように書いてある。

せいちょう‐たい【清朝体】
和文活字書体の一。楷書体のうち毛筆書きに似せた書体。あいさつ状・名刺などに用いる。

しんちょう‐たい【清朝体】
⇒せいちょうたい(清朝体)


わが国の「清朝体」が、清代の刊本字様と関係があるのかどうか、私にはわからない。かつては「しんちょうたい」といったようだが、なぜ「せいちょうたい」というようになったのかも知らない。

かくしてCDR版のキャッチフレーズは「清朝官刻体」となった。「清朝(官刻)体」ということだし、書体名ではなくキャッチフレーズだし、まあいいか……という気になった。
それでも欣喜堂ウェブサイトや書体見本帳などでは、分類名として「清朝体」を使うようにしている。宋朝体、元朝体、明朝体とくれば、清朝体がいちばんぴったりくる。これ以外は考えられなかった。軟体楷書というほうがわかりづらいと思った。