2020年11月26日

「KOめぐろ端午B」のゆめがたり4

日本語書体「めぐろ端午B」の構想

「めぐろB」は、2019年に「和字書体十二勝」のなかの一書体として発売されている。これに、漢字書体「端午B」、欧字書体「K.E.Aquarius-Bold」を加えて、「KOめぐろ端午B」とすることを構想している。

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「和字サンセリフ、呉竹体、サンセリフ」の組み合わせを基本としている。「KOめぐろ端午B」のほか、同じ「和字サンセリフ」の「ふじやま」と組み合わせた「KOふじやま端午B」、「ますらお」と組み合わせた「KOますらお端午B」も考えているが、「端午B」、「K.E.Aquarius-Bold」が完成していないので、今のところ構想だけにとどまっている。

KOめぐろ端午B
KOふじやま端午B
KOますらお端午B

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2020年11月25日

「KOめぐろ端午B」のゆめがたり3

欧字書体「K.E.Aquarius-Bold」のはなし(未制作)

和字書体「めぐろ」、漢字書体「端午」と組み合わせる欧字書体として候補になったのは、サンセリフに分類される「ギル・サン (Gill Sans)」、「フツーラ(Futura)」、「ヘルベチカ(Helvetica)」であった。

ギル・サン (Gill Sans)
碑文彫刻家のエリック・ギル(1882−1940)は、モノタイプ社のためにサンセリフ体「ギル・サン (Gill Sans) 」を設計し、1928年に発表した。
そこで、『ザ・フローラン』(1930年)のエリック・ギルの特集記事での組見本などから抽出したキャラクターをベースに、日本語組み版に調和するように制作したのが「K.E. Capricornus-Bold」である。

フツーラ(Futura)
ドイツ工作連盟(ドイツ・ヴェルクブント)のメンバーだったパウル・フリードリヒ・アウグスト・レンナー(1878−1948)は、バウワー活字鋳造所との共同作業によって、幾何学的な考え方で制作された書体「フツーラ(Futura)」を1927年に発表した。
そこで『フツーラ書体見本帳』から抽出したキャラクターをベースに、日本語組み版に調和するように制作してみることにしたのが欧字書体「K.E. Aquarius-Bold」である。

ヘルベチカ(Helvetica)
エドゥアール・ホフマンの指示によりマックス・ミーティンガー(1910–1980)によって1957年に設計された。最初はスイスのハース活字鋳造所の「ノイエ・ハース・グロテスク」としてリリースされたが、デザインを再設計するときに「ヘルベチカ(Helvetica)」に変更された。
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2020年11月24日

「KOめぐろ端午B」のゆめがたり2

漢字書体「端午」のはなし(未制作)

「めぐろ」と組み合わせる漢字書体は、「めじろ」と同じように制作しようと考えていた。『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)、『中国古音学』(張世禄著、上海・商務印書館、1930年)、『瞿秋白文集』(瞿秋白著、北京・人民文学出版社、1953年)に使われているゴシック体を候補とした。

『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)
『座右之友』には「五號ゴチック形文字」とともに「五號アンチック形文字」が掲載されている。他にいい参考資料が存在せず、サンプル数も少ないが、漢字書体の古いゴシック体、アンチック体がラインナップにほしいと思い、試作しておくことにした。
とりわけ漢字書体のアンチック体を再生したいと思った。ゴシック体は漢字書体として普及していったのに対して、アンチック体の漢字書体はまったく見られないからである。和字書体のみの書体とみなされ、ゴシック体の漢字書体との混植によってのみ生き残ることとなり、あげくは太明朝体と組み合わされている和字書体と混同されることもあるのだ。
試作にあたっては、『BOOK OF SPECIMENS』(平野活版製造所、1877年)に掲載されている欧字書体としてのアンチック(Antique)とゴシック(Gothic)を意識した。ここにあるアンチック(Antique)とは、スラブセリフと呼ばれるカテゴリーに属する書体のようである。漢字書体のゴシック体、アンチック体と名称が共通しており、浅からぬ関係を感じたのである。
漢字書体のゴシック体、アンチック体は、もともとは隷書体や江戸時代の看板文字などを参考にしたようにも思われるが、より現代的に解釈することにした。中国においてゴシック体は「黒体」という。

『中国古音学』(張世禄著、上海・商務印書館、1930年)
「めぐろ」と組み合わせる漢字書体は、「めじろ」と同じように、まず『中国古音学』のゴシック体(黒体)をベースにして制作しようと考えていた。

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1930年代にはゴシック体は見出し用として少しずつ定着していったようだ。『中国古音学』の本文は近代明朝体であるが、その表紙にはゴシック体が用いられている。
しかしながら字数が少なかった。同時代に商務印書館から出版された書物に使われているゴシック体を探したが見つからなかった。

『瞿秋白文集』(瞿秋白著、北京・人民文学出版社、1953年)
たまたま日本国内の古書店で、『瞿秋白文集』を見つけた。太平洋戦争後に出版された縦組み繁体字の書物である。
出版の時期は異なっているものの、見出しにゴシック体(黒体)が使われていた。見出しを集めると100字以上の字種がある。この書物をベースにしようと思った。
『座右之友』の「五號ゴシック形」に比べ、ゴシック体としての味わいを増しているようだ。これを「端午」として試作することにした。

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2020年11月23日

「KOめぐろ端午B」のゆめがたり1

和字書体「めぐろ」のはなし

『センサスの経済学』(児島俊弘・関英二著、財団法人農林統計協会、1964年11月25日)には、ゴシック体で組まれたページもあった。どうやら本文の近代明朝体と対になるような和字ゴシック体である。和字ゴシック体でまとまった文章が組まれた例は多くないので、これを復刻の対象とした。財団法人農林統計協会の所在地にちなんで「めぐろ」と名付けた。

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高度成長期を象徴する和字書体として、「めじろ」と「めぐろ」をペアとして考えた。
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2020年11月19日

「KOめじろ上巳M」のゆめがたり4

日本語書体「めじろ上巳M」の構想

「KOめじろM」は、2019年に「和字書体十二勝」のなかの一書体として発売されている。これに、漢字書体「上巳M」、欧字書体「K.E.Leo-Medium」を加えて、「KOめじろ上巳M」とすることを構想している。

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「和字モダンスタイル、近代明朝体、モダンローマン」の組み合わせを基本としている。「KOめじろ上巳M」のほか、同じ「和字モダンスタイル」の「ひばり」と組み合わせた「KOひばり上巳M」、「和字ニュースタイル」の「たおやめ」と組み合わせた「KOたおやめ上巳M」も考えているが、「上巳M」、「K.E.Leo-Medium」が完成していないので、今のところ構想だけにとどまっている。
おなじ「和字モダンスタイル」に属する「うぐいす」との組み合わせも考えられる。

KOめじろ上巳M
KOひばり上巳M
KOたおやめ上巳M

KOうぐいす上巳M

posted by 今田欣一 at 08:40| Comment(0) | 活字書体の履歴書・第6章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする