2021年11月01日

「きたかみ」で海へ

2021年10月24日午後6時、苫小牧港から太平洋フェリー「きたかみ」に乗船。
吉田拓郎の「落陽」(作詞・岡本おさみ、作曲・吉田拓郎、1973)を思い出した。ただ、今の時期ではすでに日が暮れているが。
しぼったばかりの夕日の赤が
水平線からもれている
苫小牧発・仙台行きフェリー
あのじいさんときたら
わざわざ見送ってくれたよ

この曲を初めて聴いたのは学生の頃だった。当時はフォークソングが流行っていた。1973年のライブで歌われ、ライブアルバム『よしだたくろう LIVE’73』に収録されている。「岡本おさみが北海道を放浪した時の実体験に基づいて、賭博に明け暮れた老人との港での別れの情景を歌っている」という。

エコノミー・シングルというベッドとテーブルだけの小さな個室に入る。テレビはあるが、地上波は電波が弱く、画面が乱れて途切れがちである。インターネットもここからは繋がらない。

午後7時、出港。初めての太平洋クルーズである。部屋からは港は見えない。夜なので水平線は見えないし、月も星も見えない。
iPhoneに入れているアルバムの中から、弘田三枝子の「タッチ・オブ・ブリーズ」(1983)を選び、聴くことにした。弘田三枝子は、元気でパンチのある10代、伸びやかに歌い上げた20代を経て、30代になって落ち着いた雰囲気のヴォーカルでこれまた魅力的だ。大野雄二プロデュースで、シティ・ポップスの幕開けの頃のアルバムだ。
ワイヤレス・イヤホンから「パープルホライズン」(作詩・茅野遊、作曲・大野雄二、芳野藤丸)の心地よい歌声が流れてくる。
Purple Horizon 夕闇に
散りばめた ハーバー・ライツ
Silky Breezing 潮風が
首すじに舞うわ

あるスキャンダルから、渡米、結婚、出産、帰国と続く激動を経て、久しぶりに発売されたアルバムであった。『週刊宝石』(1983年4月1日号)掲載の本人へのインタビューによれば「大人が楽しめるイージーリスニングということね。だからけっこうセクシーなものが多くて、できる限りスンナリと歌う努力をしたの」と答えている。なかでも、若い人向けの曲として「パープルホライズン」を挙げている。私は20代の終わりの頃で、ボカッシイという書体を制作していた。


午後10時ごろ、プロムナード(展望通路)に陣取る。夜の海を見ながら、今度は佐野元春のアルバム「Coyote」(2007)を選び出した。私は創業10年目で、「きざはし金陵」「さくらぎ蛍雪」に続いて、「さきがけ龍爪」を制作していた頃である。
このアルバム「Coyote」について、オフィシャル・ウェブサイトの解説には「コヨーテと呼ばれる、あるひとりの男の視点で切り取った12篇からなるロード・ムービーであり、その映画の架空のサウンド・トラック盤という想定で作られたコンセプト・アルバム」と記されている。
「コヨーテ、海へ」(作詞作曲・佐野元春)を聴く。
めざせよ海へ めざせよ海へ
そうさ、ここから先は
勝利ある、勝利ある、勝利ある、
勝利あるのみ
Show Real…





午前5時に目覚めた。日の出予定時刻が午前6時少し前ということで、デッキに向かった。

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水平線から朝日が上り、海を赤く染めるのを静かに見つめている。

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陽はまた昇り、人生の旅は続く。

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posted by 今田欣一 at 08:27| Comment(0) | 終章:「白澤」の宿望、札幌の虹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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