『正倉院文書の世界』(丸山裕美子著、中央公論新社、2010年)とともに
近鉄奈良駅から、奈良公園、東大寺などには立ち寄らず、真っ先に正倉院をめざす。内部を見ることはできなかったが、外から建物の様子を見ることができる。逆光で写真撮影がうまくできなかったのは残念だった。
正倉院
正倉院は、聖武天皇・光明皇后ゆかりの品をはじめとする、天平文化を中心とした多数の美術工芸品を収蔵していた校倉造の高床式倉庫である。
建立時期は不明だが、光明皇后が夫・聖武天皇の遺愛の品を大仏に奉献した756(天平勝宝8)年前後とみるのが通説である。当初の正倉院の建物構成については不明だが、平安末期には現存する宝庫一棟を残すのみであったようだ。現存する奈良時代の倉庫としてはもっとも規模が大きく、奈良時代の「正倉」の実態を伝える唯一の遺構として、価値の高いものである。
正倉院は宮内庁の所管である。宝庫は現在、古来の正倉のほかに、1952(昭和27)年に鉄筋コンクリート造の東宝庫、1962(昭和37)年には西宝庫が完成し、宝物はこの両宝庫に分納して保存されている。
この時には、校倉造の高床式倉庫の外観を見るだけだったのだが、その収蔵物については、のちに『正倉院文書の世界』という新書を購入したので、これで勉強したいと思う。
正倉院から北へ大きくまわって、東大寺転害門(てがいもん)へ。
東大寺転害門
三間一戸八脚門の形式をもつ堂々とした門で、天平時代の東大寺の伽藍建築を想像できる唯一の遺構である。選挙の時期と重なっていて、正面からだと写真にポスターの掲示板がどうしても写ってしまう。
せっかくだから、大仏殿を訪れようと思い、南大門に向かう。
東大寺南大門
東大寺の正門である。現在の南大門は鎌倉時代に、東大寺を復興した重源上人が、新たに宋様式を採り入れて再建したものである。
大仏殿を見学したのち、近鉄奈良駅へ。奈良漬を買って帰る。