さらに、日本語フォントとして株式会社モリサワ、中国語フォント(簡体字・繁体字)として北京北大方正電子有限公司に、一部の書体を提供しています。契約の詳細は、それこそ守秘義務があるので言えませんが、デザインを勝手に変えない、書体名は共通にする、制作者名の明示ということで合意しています。
株式会社モリサワに提供した時には、ある人から「写研を鼻にかけていたくせに、今度はモリサワのポチになったのか」と罵倒されました。いろいろ考えて、活字書体としてより広範囲で使用していただくために、最善な方向だったと思っています。
「タイプデザイナーは霞を食って生きるべし」と言われたことがあります。仙人じゃあるまいし、私にはそういうことはできません。収入がなければ生活が成り立ちません。生活費だけではなく、設備にも費用がかかるし、資料集めにも費用がかかります。
それでもタイプデザイナー専業で生きていく道を進んできました。何か主たる仕事があって、片手間に制作した書体を無償で頒布していくということでしか、職種として成り立たないのではさびしすぎます。