2023年11月04日

[余聞4]CDパッケージの時代

robundo type cosmique によるCDパッケージ版「欣喜堂デジタルタイプ・シリーズ」は、2002年発売の「和字 Revision 9」からはじまり、約14年にわたって、全15種が発売されています。CDジャケットのデザインは白井敬尚さんによるものです。

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[和字書体三十六景]
和字Revision 9
和字Tradition 9
和字Succession 9
和字Ambition 9

それぞれ和字書体9書体が1枚のCDに収録されています。「Revision 9」のジャケットは9書体のうちの「あおい」の「も」がモチーフになっています。「Succession 9」では「ふみて」の「いろは」3文字、「Ambition 9」では「ひさなが」でいろは歌47文字が、「Tradition 9」では「えど」で『偐紫田舎源氏』の一節が組まれています。
ちなみに4枚のパッケージの頭文字を並び替えると、STARになります。


[和字書体ファミリー]
和字たおやめFamily 7
和字ますらおFamily 9

和字Revision 9のツートップ、「たおやめ」と「ますらお」をファミリー化しました。たおやめFamily 7は、7ウエイトの「た」がモチーフになっています。ますらおFamily 9では、民友社活版製造所『活字見本帳』の1ページを模していろは歌47文字が9ウエイトで組まれています。

和字おゝはなぶさFamily 7
和字おゝくれたけFamily 9
和字おゝことのはFamily 9

字面を大きくした3ファミリーのジャケットは原資料を元にしてデザインされています。すなわち、「おゝはなぶさ」は博文館『少年工芸文庫第八編』、「おゝくれたけ」は森川龍文堂『活版総覧』、「おゝことのは」は博文館『辞苑』をベースにしながら、CDジャケットとしてまとめられています。


[総合書体]
四川宋朝体 龍爪M Combination 3
正調明朝体 金陵M Combination 3
正調明朝体 金陵B Combination 3
官刻清朝体 蛍雪M Combination 3
古代呉竹体 銘石B Combination 3

「龍爪M」は書体名「龍爪」を大きく入れていて「四川宋朝体」は小さくなっています。逆に「金陵M」と「金陵B」は「正調明朝体」が大きく取り上げられ、書体名の「金陵」は小さくなっています。また、「金陵M」は縦書き、「金陵B」は横書きにして変化をつけています。
「蛍雪M」は原資料の『欽定全唐文』、「銘石B」は『王興之墓誌』に合わせてデザインされています。「古代呉竹体 銘石M Combination 3」はCDパッケージでは発売されていませんが、もし発売されていたらどのようなデザインになっていたのでしょうか?
委託販売店の意向により、CD版では「官刻清朝体 蛍雪M」は「清朝官刻体 蛍雪M」に、「古代呉竹体 銘石B」は「HUMAN Sans Serif 銘石B」になっていますが、全体の統一を考えて、DL版は前述のような表記にしています。

※「福建元朝体 志安M Combination 3」もCDパッケージがありますが、ここでは割愛します。

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robundo type cosmiqueで作成された販促のためのブックレット
posted by 今田欣一 at 17:29| Comment(0) | 活字書体打ち明け話・4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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